Backstreet Journey
日本語

谷根千

Yanesen

住民の雑誌が名付けた、焼け残った路地の町。

谷中・根津・千駄木をまとめた呼び名で、行政上の地名ではない。関東大震災と東京大空襲のどちらでも大きな焼失を免れたため、木造の家屋と寺、細い路地が残っている。呼び名そのものは1984年に地域の季刊誌がつけたもの。

見どころ

定番

谷中銀座商店街

徒歩6分

Yanaka Ginza Shopping Street

全長約170メートルの商店街。豆腐屋、コロッケ屋、手作り雑貨の店が軒を連ね、買ったものをその場で食べている人が多くいます。入口の石段は「夕焼けだんだん」と呼ばれ、上から商店街を見下ろせます。

週末の午後は混みます。平日の午後3時から5時ごろが歩きやすい時間帯です。西を向いた石段なので、晴れた日の夕方は日が正面から差します。

谷中銀座商店街

写真: Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan / Wikimedia Commons (CC BY 2.0)

定番

谷中霊園

徒歩11分

Yanaka Cemetery

谷中の高台に広がる霊園。春は桜並木の参道に花見客が集まります。最後の将軍・徳川慶喜、そして明治の文人や政治家の墓がここにあります。

一般道として24時間通り抜けが可能。早朝の静かな霊園散歩は、都内とは思えない穏やかさです。

定番

根津神社

徒歩11分

Nezu Shrine

創建は約1900年前と伝えられる古社で、現在の社殿は1706年(宝永3年)に5代将軍・徳川綱吉が造営したもの。本殿・拝殿・楼門など7棟が国の重要文化財に指定されています。境内の乙女稲荷神社へ続く朱塗りの鳥居の列は、京都の伏見稲荷ほどの規模ではありませんが人が少なく、静かに歩けます。4月の文京つつじまつりでは、約100種3000株のつつじが咲きます。

境内への参拝は無料。つつじ苑への入園(寄進料)が必要なのはつつじまつり期間(例年4月1日〜30日)だけで、料金は日によって変わるので、当日の掲示を見てください。平日の早朝は人も少なく、ゆっくり参拝できます。

根津神社

写真: Zairon / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

穴場

夕焼けだんだんからの夕景

徒歩7分

Yuyake Dandan Sunset View

谷中銀座の東端、日暮里側にある全36段の石段が「夕やけだんだん」。晴れた夕方に西日が屋根と電線のシルエットを黄金色に照らし出すことからこの名が付きました(1990年の改修時に、地域誌『谷根千』の森まゆみが命名)。入場料もガイドも必要なく、地元の人と並んで眺めるこの景色こそ、谷根千の真骨頂です。日暮里駅西口から御殿坂を上ると、その先に現れます。

穴場

谷中の猫

The Cats of Yanaka

谷中の猫は、寺の塀の上や霊園の木陰で暮らしています。会えるかどうかはその日次第で、いる場所も決まっていません。餌やりを禁じる掲示が出ている場所があるので、見かけても手は出さないでください。

霊園は一般道として通り抜けができます。早朝と夕方は人が少なく、猫のほうも動いています。

谷中の猫

写真: Guilhem Vellut from Annecy, France / Wikimedia Commons (CC BY 2.0)

グルメ

定番

カヤバ珈琲

徒歩14分

Kayaba Coffee

1938年創業の喫茶店を、閉店したあとに地域の有志が引き継いで再開させた店。分厚いトーストのたまごサンドとハンドドリップの珈琲を出します。

週末は開店前から行列ができることも。午前8時の開店直後か、午後2時以降に来るのがベター。クレジットカードや交通系電子マネーも使えます。

カヤバ珈琲

写真: Nichika Sakurai / Unsplash

定番

カフェ猫衛門

徒歩8分

Cafe Nekoemon

招き猫専門店「谷中堂」の姉妹店として三崎坂沿いにあるカフェ。コーヒーやスイーツを楽しみながら、招き猫に自分で絵付けをする体験ができます。「猫町」と呼ばれる谷中らしい、いちばん手を動かせるお店です。

月曜定休、営業は11時〜18時。絵付け体験は席数が限られるので、事前に確認しておくと安心です。すぐ隣が本店の谷中堂で、こちらは招き猫そのものを買えます。

11:00–18:00 / Mon closed

穴場

HAGISO(ハギソウ)

徒歩5分

HAGISO

取り壊し寸前だった昭和30年代の木造アパートを美術学生たちが「解体前夜祭」として展覧会を開いたところ大盛況となり、そのまま文化施設として再生。カフェ・ギャラリー・設計事務所が同居する、谷根千カルチャーの発信地です。

展示がなくても、建物そのものが見るものになっています。カフェは併設で、そのまま入れます。

穴場

越後屋酒店

徒歩5分

Echigoya Sake Shop

谷中銀座に店を構える1904年(明治37年)創業の酒屋。日本酒・本格焼酎・ワインが棚に並び、店内には「えちごや立ち飲み部」があって、買ったお酒や生ビールをその場で一杯やれます。商店街の買い物客がふらりと寄っていく、地元の給水所のような店です。

火曜定休、営業は11時〜20時。立ち飲みができる日は限られることがあるので、公式サイトか電話で確認するのが確実です。

11:00–20:00 / Tue closed

街の記憶

名前のなかった街

谷根千という行政地名はない。谷中・根津・千駄木を縮めた言葉で、1984年より前には存在しなかった。その年の秋、この界隈に住み、当時子育てをしていた女性たちが、三つの町を扱う季刊の雑誌を始めた。動機は、自分たちが本当に読みたい雑誌がどこにも無かったから、というものだった。手弁当だった。ところがその手づくりの誌面が受けて読者がつき、黒字になり、やがて全国の地域雑誌が手本にするものになった。

雑誌は二十五年、九十四号まで続き、二〇〇九年の夏に終刊した。そのころには略称のほうが表紙を離れて、土地の名前になっていた。いま訪れる人は、雑誌の題名を引用しているとは知らずに谷根千と言っている。創刊メンバーの一人、森まゆみは、この街でいちばん写真に撮られる場所にも名前をつけている。谷中銀座へ下りる石段が一九九〇年に改修され、区が愛称を公募したとき、選ばれたのが彼女の案だった。夕焼けだんだん、である。

書くべきものがここに残っていたのは、戦災が大きくは及ばなかったからだ。谷中も一九四五年三月四日には爆撃を受けている。死者百十三人、二百戸以上が壊れた。しかし六日後の大空襲では、上野公園から根津・谷中にかけての帯が焼け残った。谷中霊園は高台にあって燃えるものが少なく、防火帯として働き、人々の避難先にもなった。結果として、六十を超える寺が連なる寺町が、この規模で残った。東京でここだけだとされる。歩いている古い街並みは偶然ではないし、それを何と呼べばいいか知っていることも、偶然ではない。

  • 雑誌の正式名は『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』。2009年8月の94号が最終号。
  • 夕焼けだんだんは谷中銀座の日暮里側にある三十六段の石段。1990年の命名。

泊まる

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澤の屋旅館

徒歩9分

Sawanoya Ryokan

谷中の真ん中に位置する1949年創業の家族経営の旅館。1982年から外国人客の受け入れを始め、以来100か国近くの旅行者が泊まってきました。畳の部屋と、檜風呂・陶器風呂の2つの貸切風呂、手書きの近所マップを渡してくれる温かいホスピタリティが魅力です。

アネックス勝太郎旅館

徒歩4分

Annex Katsutaro Ryokan

谷中三丁目にある全17室すべて和室の旅館。千駄木駅からいちばん近い宿のひとつで、日暮里駅からも歩ける距離。派手さはありませんが、畳と布団で眠って、朝そのまま路地に出ていける立地が価値です。海外からの個人旅行者の利用が多い宿です。

hanare

徒歩5分

HAGISOが手がけた「街全体をホテルにする」というコンセプトの一棟宿。朝食はHAGISOのカフェで、入浴は近所の銭湯で、という具合に、谷根千の日常を丸ごと体験するユニークな滞在スタイルです。

一年の行事

3月下旬〜4月上旬

桜の時期

谷中霊園

霊園を貫く参道が桜並木になっていて、花見の人が集まる。一般道として通り抜けできるので、朝は通勤の自転車と花見客が同じ道を通る。

4月上旬〜下旬

文京つつじまつり

根津神社

つつじ苑に約100種3000株が植えられており、入苑できるのはこの期間だけ。株ごとに咲く時期がずれるので、満開が揃うことはあまりない。

8月下旬

例大祭

諏方神社

谷中と日暮里の総鎮守の祭り。三年に一度の本祭では宮神輿が出て、それ以外の年は町神輿の連合渡御になる。

9月中旬の土日

例大祭

根津神社

1714年に六代将軍・徳川家宣が創始したとされ、江戸三大祭のひとつに数えられることもある。根津と千駄木は根津神社の氏子で、旧町ごとに神輿や山車が出る。

日程は年によって動きます。予定を組むときは神社・主催者の案内で確認してください。

主要ターミナルからのアクセス

渋谷から約29分乗換1回(表参道で乗換)東京メトロ銀座線 → 東京メトロ千代田線¥260
新宿から約27分乗換1回(西日暮里で乗換)JR山手線 → 東京メトロ千代田線¥430
東京駅から約20分乗換なし東京メトロ千代田線¥180千代田線の駅は二重橋前。東京駅からは地下通路を歩いて乗り場へ向かう。
上野から約12分乗換1回(西日暮里で乗換)JR山手線 → 東京メトロ千代田線¥340
池袋から約18分乗換1回(西日暮里で乗換)JR山手線 → 東京メトロ千代田線¥380
品川から約34分乗換1回(西日暮里で乗換)JR山手線 → 東京メトロ千代田線¥380
成田空港から約67分乗換2回(日暮里と西日暮里で乗換)京成スカイライナー → JR京浜東北線 → 東京メトロ千代田線¥2,900
羽田空港から約53分乗換2回(浜松町と西日暮里で乗換)東京モノレール → JR山手線 → 東京メトロ千代田線¥910谷根千は谷中・根津・千駄木の総称。日暮里駅で降りて夕やけだんだんから谷中銀座へ入る人も多い。

所要時間は平日昼間の目安、運賃はきっぷの概算です。どちらも変わるので、当日は乗換案内で確認してください。

アクセス

谷根千に「谷根千駅」という駅は無い。最寄りはJR山手線・京成線の日暮里駅と、東京メトロ千代田線の千駄木駅・根津駅で、どこから歩き始めるかで距離が変わる。谷中霊園と谷中銀座へは日暮里、根津神社へは根津か千駄木が近い。所要時間と運賃は下の表にまとめてある。エリアは徒歩で回れる規模だが、緩やかな坂と石畳があるので歩きやすい靴で。

ベストシーズン

3月下旬〜4月上旬は谷中霊園の桜、4月は根津神社の文京つつじまつり(例年4月1日〜30日、見頃は中旬前後)。10〜11月の紅葉の時季も美しい。夏は蒸し暑いですが、木々に覆われた寺院の境内は比較的涼しく過ごせます。観光客が少ない平日の朝が、どの季節でも一番おすすめです。

地元のコツ

谷根千には大型チェーン店がほとんどなく、現金しか使えない小さなお店が多いので、千円札を多めに用意しておきましょう。猫に出会ったら、追いかけず、向こうが近づいてくるのを待つのが谷中のマナー。それを守るだけで、地元の人たちと自然と笑顔を交わせます。

駅名の6言語表記

English
Yanesen
日本語
谷根千やねせん
한국어
야네센
简体中文
谷根千
繁體中文
谷根千
ไทย
ยาเนเซ็น